
そもそも「ヨガ」ってどんなもの?
「ヨガ」というのは、サンスクリット語でいうと「つながり」という意味を表しています。心と体と魂が、繋がっている状態のことを言います。
ヨガをすることで呼吸、姿勢、瞑想を組み合わせて、心身の緊張をほぐしたり、心の安定とやすらぎを得ることができます。具体的には「調和」「統一」「バランス」を意味していて、体・心・呼吸など、バランスの取れた心身へと導いてくれます。
ヨガは、呼吸が何よりも大切です。ヨガでの呼吸の目的は、血液や脳に酸素をより多く送ることです。ヨガ=呼吸法と言われているほど、呼吸がポイントになってきます。
単に酸素と二酸化炭素を交換するための呼吸でなく、気をコントロールするという意識で行うことで、活力と集中力が増して心と体が統合していきます。
正しい呼吸をすることで、呼吸が「心と体の架け橋」であることを体感することができます。
ヨガのルーツ
ヨガの種類は意外と多く、ヨガのルーツを知るとその理由が見えてきます。
ヨガは4,000年から5,000年前の紀元前、宗教的技法のひとつとしてインドで生まれた心身鍛錬のひとつ。「ヨガ」という言葉は、インドの公用語でもあるサンスクリット語で「ヨーガ」「ヨウガ」と発音する方が正しいですが現在「ヨガ」は世界共通語として知れ渡っている通り、今では健康法として実践されています。
元々はヒンドゥー教や仏教などの修行法でしたが、その後海外に渡り独自の変化を遂げたことにより、流派も増加。あのチベット密教や真言宗の阿字観も、ヨガがルーツと言われています。
ヨガの種類は増えたものの、筋肉や内臓、骨格といった体のバランスと神経のバランスを整えて、健やかな心と身体に繋げていくという根本的な考えや目的は変わりません。そのため、ポーズや動作のスピードなど違いはあっても、共通して呼吸法とリズム、姿勢が重要なポイントとなってきます。
瞑想や呼吸法もあるヨガは、肉体的な筋肉への刺激を重視したピラティスと大きく違う部分と言えます。
ヨガにはたくさんの種類がある

ヨガには、伝統的な流派から、現代的なスタイルまでたくさんの種類が存在します。ここでは定番なヨガスタイルから、現代的なヨガまで12種類ご紹介していきます。
ヨガの種類は、自分の体質や目的、悩みから選ぶのがおすすめです。
ハタヨガ
ハタヨガの「HATHA( ハタ )」とは、サンスクリット語で直訳すると「ハ=太陽」、「タ=月」という意味を表しています。この 2 つの言葉の意味を組み合わせると、 「ハタ」は「太陽と月 / 陽と陰 / 精神性と生命力」と解釈できます。そこから転じて1 つに結ばれた陰と陽が織り成す「身体のパワー」を意味する事から、ハタヨガというのは「力強いヨガ」という意味で知られています。
ハタヨガを行うことで、自分の体と心に向き合い、ストレスによる自律神経の乱れやバランスを整えることを重視し、精神的なストレスの緩和やうつ病にも効果が期待できるといわれています。
運動量は人それぞれではありますが、初心者や運動の苦手な方でもできるのがヨガのメリットポイントです。呼吸とともに体を動かすことで、運動不足解消、ダイエット効果、デットクス効果も期待できます。
ハタヨガの代表的なポーズには、「ウッティタ・トリコナーサナ」があります。慢性疲労、冷え性、便秘に効果が期待できます。ウエスト、腰、脇腹、お尻、脚の引き締めも期待できるので、これから体も一緒に引き締めることができるのは嬉しいポイントですね。
ハタガヨガのポイント、運動不足解消、ダイエット効果、デットクス効果、自律神経を整えるという4つの効果が期待できます。近所のヨガ教室やDVDを買ってチャレンジしてみましょう。
アシュタンガヨガ
シュリ・K・パタビジョイス師によって南インドの街、マイソールシティで教えられていたのがアシュタンガヨガです。
アシュタンガヨガは、確かに運動量は多めなことから中級者から上級者のヨガとも言われています。そして、ヨガの経典(ヨーガ・スートラ)に書かれているアシュターンガ(八支則)に則ったスピリチュアルなプラクティスです。
アシュタンガヨガは、他のヨガに比べると、動きも激しいためかなりの運動量があります。また、呼吸法などもあることから、ダイエットに効果的な有酸素運動でもあり、筋力アップ、代謝アップ、自律神経の安定など体を健康にしてくれるだけでなく、ダイエット効果が高いというのがアシュタンガヨガの特徴です。
アシュタンガヨガのポーズには、シルシャーサナがあります。その効果は、集中力UPや姿勢改善、頭もスッキリさせ、瞑想にも適したポーズと言われています。
ただし、勢いでやろうとすると危険なポーズなので、土台がしっかりするまでは指導者に習って練習するようにしましょう。
アシュタンガヨガのポイントをまとめると、リラックス効果、代謝アップ、筋力アップ、自律神経を整える効果が期待できます。
ホットヨガ
ホットヨガとはハタヨガから派生したヨガのひとつです。ホットヨガの特徴は、室温40度、湿度60パーセント程度の高温多湿な環境で行われることです。
室温を高めにすることで、ゆったりしたハタヨガの動きでも体温を高め、有酸素運動の効果を引き出すことが可能になります。ホットヨガではストレッチと呼吸法を中心に行い、全身の筋肉を動かしながら大量の汗と老廃物の排出を目的としているため、デットクス効果も期待できるでしょう。
ホットヨガにはストレス解消、ダイエット効果、美肌効果、むくみ改善、柔軟性アップと女性には嬉しい効果がいっぱいです。
ハリウッドヨガ
ハリウッドヨガとは、ゆったりしたヨガの動きとエアロビクスのようなテンポを兼ね備えたスタイルで行う、美と健康を意識した動きのあるヨガです。
ハリウッドヨガはパワーヨガの別名でもありますが、ハリウッド女優やセレブが実践したというハリウッドヨガの名称がついたようです。ダイエットとして認知度が高いヨガです。
現在では、アイアンガーヨガとアシュタンガヨガを組み合わせた動作や、よりダイエットを意識して音楽に合わせた動きがフィットネスクラブで流行しているようです。誰でも気軽に始められて、体を動かして楽しみが実践できるのがハリウッドヨガです。基礎代謝の促進や脂肪燃焼、循環機能の向上など、ダイエット効果も期待できます。
ヨガの基本である、呼吸と運動を連動させた流れもしっかり盛り込まれています。消費カロリーを効率よく高めてくれるのもダイエットに向いていますね。
陰ヨガ
運動量が多く連続してポーズを取り続けるアシュタンガヨガやパワーヨガ、ハタヨガなどの「陽ヨガ」に対してゆったりした動きと呼吸に重点を置いたスタイルが陰ヨガです。
座位や寝位が中心でひとつのポーズ時間がとても長く、ポーズを通してヨガの根底に触れるのが陰ヨガの目的なのです。自分が気持ち良いと感じるところでポーズをとり、気の通り道である経路を刺激してリラックス効果を高めていきます。
穏やかな動きではあるものの、筋肉の緊張をほぐすため股関節をしっかり動かしていくので、リンパの巡りにアプローチし下半身を整えるのに有効といわれています。ストレスの緩和やリラックス効果、集中力を高めたい時にぴったりなのが陰ヨガです。
陰ヨガは、リラックス効果が高く、誰にでもできるため、ヨガ初心者や高齢者の方にも人気です。そして、集中力アップやデットクス効果もあるので、ゆったりと無理せずにヨガを楽しむことができます。
ヴィンヤサヨガ
アメリカで生まれたヴィンヤサヨガは、アシュタンガヨガをベースに自由と創造性を加えたもので、伝統的なヨガのアサナを呼吸に合わせて途切れなくポーズをとるヨガです。別名、ヴィンヤサフローヨガとも呼ばれています。
アーサナによるシークエンスは、太陽礼拝のポーズが組み込まれていますが、これがヴィンサヤヨガの代表的なポーズです。肉体だけでなく交感神経にも作用しエネルギーを満たしていく動きは、練習を重ねていくことで筋肉がつき、よりスムーズになっていきます。
力強く、瞑想的で、連続的にアサナを行うので集中力が高まるとともに、深いリラックス効果も得られ、血流やリンパの流れを促して、インナーマッスルを鍛える効果があります。
さらに、肩や背中や首のこりの解消やお尻のぜい肉を取り除く効果もあります。運動量がとても高いので、たくさん体を動かしたい人にはぴったりです。
アサナのアライメントをしっかりと意識しながら呼吸がスムーズに流れていることがポイントになります。アサナからアサナまでの移行に自然な流れと一貫性があるため、一つ一つのアサナが次のアサナへの準備になっており、その過程で呼吸をすることで、瞑想的な心の状態へと自然に導かれていくのです。
シヴァナンダヨガ
シヴァナンダヨガは、西洋医学の医師により、スピリチュアルだけでなく科学的な考えも盛り込んだスタイルのヨガで、インドの伝統的な要素が豊富に含まれているのが特徴的です。
プラーナヤーマの呼吸法はもちろん、12の基本となるアーサナ、自然への感謝と体内の生命エネルギーを感じる太陽礼拝、潜在意識を払拭し心身のリセットをはかる瞑想、そしてマントラを詠唱するチャンティングがあります。
心と身体の健康だけでなく、精神状態も整えるスピリチュアルな動きとなるので、ハードな動作はありません。そして、筋肉の緊張を開放するためのシャバアーサナを動きの間に都度入れていくように、瞑想を通じて心身のバランスを整えていくのが目的です。
伝統的なヨガを体験してみたい人や、古代インドの動きやその教えに触れてみたい人、また運動でなくリラクゼーション目的でヨガを始めたい人におすすめのヨガといえます。
パワーヨガ
エネルギッシュなイメージの強いパワーヨガとは、アシュタンガヨガを基に、より現代人向けにアレンジされたアメリカ生まれのヨガです。
1980年代に考案され、欧米を中心にハリウッドセレブのボディメイクとしてトレンドとなりました。筋肉のトレーニングと瞑想を軸に、動と静のポーズで連続して行っていきますが、アシュタンガヨガとの大きな違いは、さらに新陳代謝や脂肪燃焼を意識したパワフルな動きが特徴です。よりダイナミックな動作でメリハリのあるポーズとなっています。
運動効果が高くアレンジも効くため、世界中で行われているヨガの種類のほとんどが、このパワーヨガが基本になっているともいえます。ヨガをダイエットやトレーニング目的で始めてみたい人や、思いっきり汗をかいてスッキリしたい人におすすめのヨガです。
アイアンガーヨガ
アイアンガーヨガとは、正しいアーサナのアライメント(ポーズの姿勢)習得に重きを置いたスタイルで、あの大きなアシュタンガヨガの基盤を作った師に従事していたアイアンガー師が、ハタヨガの派生として作ったヨガです。
伝統的な考えでありながらも、解剖学的な正しいアーサナと心理学も考慮した心身の科学的な分析を盛り込んだ種類のヨガとなっています。そのため動きやポーズはハタヨガに近く、ゆっくりとした動作で静止も多いのが特徴的で、瞑想の時間も長いです。
また、鋭気を養い集中力を高めるアイアンガーヨガは、激しい動きもないため幅広い年齢の人が取り組めますが、プロップスと呼ばれる補助道具を使うのもアイアンガーヨガならではの魅力です。
クッションやベルト、椅子などを使い正しいアライメントを意識していくので、年齢の高い人や体が弱い人、体調がすぐれない人でも安心して取り組めるおすすめのヨガと言えるでしょう。
クリパルヨガ
クリパルヨガとは、スワミ・クリパルによって創設された、伝統的なヨガの神髄を大切にしながら、現代社会に合うように開発されたアメリカ発のヨガです。完成されたポーズを目指すことよりも、内面で実際に起きていることを受け入れることを大切にしています。そのため、自分への理解を深め、人との関係を改善するなど、セラピー的な要素があります。体だけでなく、心を大切にした暮らしを模索する人におすすめのヨガです。
マタニティヨガ
妊娠中の女性が行うマタニティヨガ。実は、妊娠中の女性向けのヨガを総称しているため、マタニティヨガという種類は存在しなく、プログラムによって流派も異なります。
このようなマタニティヨガですが、共通点として、妊娠中でも負担のない運動量で、なおかつ出産に向けて体力や柔軟性を養うことを目的としています。妊娠中のため、難易度の高い動きのあるポーズをとるのではなく、心と身体をリラックスさせることを目指します。呼吸法や瞑想で妊娠中の不安やイライラをヨガで軽減させ、精神的な安定が得られるのもマタニティヨガのメリットです。
妊娠13~14週目以降の安定期を目安に、体調をみながら始めるのが一般的です。心身共に健康な状態で、出産に向けてより良い環境を作り上げることを目標に続けていくヨガと言えます。
ラージャヨガ
ラージャヨガは、ヨガ教典「ヨーガ・スートラ」を基にしたインドの古典的なヨガです。同じヨガ教典を基にしたアシュタンガヨガは、このラージャヨガの修行体系をベースとしています。
ポーズや動作よりも集中力や精神統一が必要とされるように、深い瞑想で無我の境地を体験し、宇宙の広がりを意識していくのがラージャヨガの目的です。そのため、ラージャヨガは、動作なく坐法で組んでひたすら瞑想するのが特徴です。動きのあるハタヨガと対になるように、ヨガの基本概念である瞑想の訓練を取り組んでいくのです。
ラージャヨガを続ければ心と身体のバランスが整い、精神をコントロールできるくらいの力を身に付けることができますよ。ハタヨガと合わせて、ラージャヨガを始めてみてはいかがでしょうか?
ヨガをすることによるメリット
体の部分への影響を与える力を持っている

ヨガのメリットはヨガを行うことで肉体を鍛え、関節や骨、内臓を正しい位置に戻して、体の調子を整えることができるポイントもヨガのメリットのひとつです。ヨガのポーズは、ひとつひとつがスピリチュアルな意味とともに、体の部分への影響を与える力を持っています。
関節をほぐして、骨の位置を矯正したり、下がった内臓を元の位置に戻したりして働きを促進させてくれます。一つ一つのポーズは、緩やかでゆったりと行いますが、普段使わない筋肉を使い、インナーマッスルを動かすので体がポカポカとしてくるでしょう。
ゆったりとした動きのため、関節や筋肉を急激に刺激することなく、鍛えることができるのは嬉しいポイントですよね。ゆったりしているにも関わらず、ヨガをやっていると汗をかくのもこのためです。筋肉を動かすことで、血流も促進されますし、体の中から温まるため、冷え症が改善され、代謝がアップしてむくみにくい体づくりにもなりますね。
体だけでなく心にも影響を与えてくれる
そして体の調子を整える傍ら、ヨガのこれらのポーズは私たちを自分の体へと集中させてくれます。また、スタジオでヨガを実践する際には一体感が増し、より集中力を高めてくれます。
体に負荷をかけてしまった場合には、呼吸によって無駄な緊張をほぐしてリラックスし、自然で楽な姿勢を心がけることで、より美しいポーズをとることができるようになります。
自分の肉体をコントロールできるようになることで、自分を知っていき、大切に思うことができるようになっていきます。
自分の内面をシンプルにして、周囲への感謝の念が深くなることで生き方にも変化をもたらし、前向きで毎日を楽しむ姿勢が身につくのがヨガの素晴らしさです。
ヨガをすることによるデメリット

ヨガのデメリットは、自宅でヨガをする場合やヨガの種類により変わってきます。
自宅ヨガのデメリット
自宅ヨガのデメリットのひとつは、ペースメーカーがないことです。初心者の人にとっては、ポーズのキープ時間、力の入れ具合と抜き方、ポーズの流れや種類、ヨガの頻度や回数など、自分にはどれくらいが適切なのかがわかりません。
ヨガは継続することが大切です。しかし一人で行っていると、自由な反面、強制するものもないので、三日坊主になったり、モチベーションの維持が難しくなることもあります。
また、ヨガに慣れていない方は正しいポーズをとるのが難しいかもしれません。自宅で一人でヨガを行うことの大きなデメリットとなるのが、間違ったやり方で継続してしまうことではないでしょうか。間違ったポーズを続けても、本来のヨガの効果が得られにくくなってしまいます。それだけでなく、間違ったポーズで無理をしてしまうと、ケガや痛みに発展してしまうことがあるので注意が必要です。
ホットヨガのデメリット(注意点)
ホットヨガのデメリット(注意してほしいポイント)です。まずは、関節炎の可能性です。靭帯などの筋は熱でゴムのように伸びる仕組みになっています。室内が暖かく、体が温まっている状態は普段よりも体が柔らかくなっています。あともう少しできるような気がしてしまいますが、無理をしてはいけません。
暖かい環境から脳の判断力が少し鈍ってしまいます。これが合わさり、痛みを感じず、筋が伸ばせる限界を超え、傷つけてしまうケースは多いようです。
筋の伸び方は人それぞれで、長年ストレッチしている人はとても柔らかく傷付きにくいですが、初心者は怪我をしやすいので注意が必要です。自分のペースを守っていきましょう。
水分補給について
ホットヨガのスタジオ内は温度が高くかなりの汗をかきます。その為こまめに水分を補給しないと脱水症状に陥ってしまう可能性が高まってしまいます。こまめに水分補給・汗を拭く時間が設けることが大切です。インストラクターがタイミングを教えてくれるので、このタイミングで必ず水分補給をしましょう。
水は多めに、毎回のレッスンで(40~60分)で1リットルの水を持参するようにし、水分補給をしっかりすることで、血液のめぐりが促進しデトックス効果がしっかり得られます。
メリットとデメリットを知った上で、ヨガを行いましょう!
ヨガは、継続してこそ効果を実感することができます。激しい運動ではないので毎日でも続けられますし、無理せず長く続けることができるでしょう。
ただし無理は禁物です!無理をすると続かなくなりますし、ヨガをしなければと義務化してしまうと嫌気がさしてしまうこともあります。自分に無理のない頻度で継続、ヨガの素晴らしさを体感していきましょう。
ヨガは10分だけでも効果を実感できるようになります。ヨガの簡単なポーズを2つ、3つ程度行えば10分経過してしまいます。体調がすぐれない時や体を動かすことが面倒な時は、ヨガのゆっくりとした深い呼吸法を実践するだけでも違ってきます。
ヨガの良さと注意点を知った上で、ヨガをあなたの生活に取り入れてくださいね!